マニュアル作成を外部に委託するメリット
マニュアル作成の外部委託には、依頼する企業にとって嬉しいメリットもあれば、注意しなくてはならないデメリットもあります。マニュアル作成を外部に委託するメリットとしては、
・クオリティの高いマニュアルを作成できる
・効率的にマニュアルを作成できる
・マニュアルの運用までサポートしてもらえる
などがあげられます。
それぞれ詳しく解説します。
クオリティの高いマニュアルを作成できる
外部委託の最大の魅力は、専門家の手によるクオリティの高いマニュアルを作成できる点です。マニュアル作成を手掛ける代行会社やフリーランスは、専門知識と経験を有しており、自社では作成が難しいような細部まで配慮が行き届いた成果物を提供します。
例えば、複雑な操作手順や技術的な内容をわかりやすく説明する図やイラストの作成、デザイン性に優れたレイアウトの設計など、マニュアル作成のプロフェッショナルならではの工夫が凝らされています。
効率的にマニュアルを作成できる
マニュアル作成は、企画立案、構成作成、執筆、デザイン、製本など、多岐にわたる工程を含む作業です。これらをすべて社内で行う場合、多大な時間と労力がかかります。外部に委託することで、これらの作業を一括して依頼でき、効率的に進められます。
特に新製品やサービスのリリース時など、短期間でのマニュアル作成が求められる状況では、外部委託が有効です。プロフェッショナルなワークフローを持つ外注先であれば、短納期で高品質なマニュアルを提供することが可能です。
マニュアルの運用までサポートしてもらえる
外部委託のもう一つの利点は、作成後の運用支援まで含めた包括的なサービスが受けられる点です。多くの代行会社は、マニュアルの作成だけでなく、その後の運用や効果的な活用方法についてもアドバイスを提供します。
例えば、完成したマニュアルをデジタルプラットフォーム上で管理・配信できる形に整えたり、必要に応じて更新や改訂のサポートを行うことが可能です。このようなサポートを活用することで、マニュアルの効果を最大限に引き出すことができます。
マニュアル作成を外部に委託するデメリット
その一方で、マニュアルを外部に委託して作成する方法の主なデメリットとしては、以下の4点があげられます。
・コストがかかる
・業者選びに時間がかかる
・業者とのやりとりに手間がかかる
・トラブルが発生する可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
コストがかかる
マニュアル作成を外部委託する最大のデメリットは、費用が高額になることです。50ページ規模の紙のマニュアルを作成する場合、相場は70~80万円程度とされています。
この金額は、企画、執筆、デザイン、製本などの全工程を依頼した場合のものですが、特に小規模な企業や予算が限られている企業にとっては大きな負担です。
業者選びに時間がかかる
外部委託の成功は、依頼する業者の選定に大きく依存します。しかし、業者の実績や得意分野、費用感などを比較検討するには時間と手間がかかります。
特に、初めて外部委託を利用する場合は、どの業者が自社のニーズに合っているのかを見極めるのが難しいことがあります。
業者とのやりとりに手間がかかる
マニュアル作成を外注した場合でも、業者にすべてを丸投げすることは難しく、頻繁なコミュニケーションが必要です。
特に、企画や構成の段階では自社のニーズや製品・サービスの特性を正確に伝える必要があり、それを業者が理解するまでのやりとりに多くの時間が割かれます。
トラブルが発生する可能性がある
外部委託では、想定外のトラブルが発生するリスクも伴います。
例えば、納品物のクオリティが期待値を下回る、納期が遅れる、追加費用が発生するなどのケースが考えられます。さらに、修正対応の条件が事前に明確になっていない場合、追加の費用がかかったり、納期が延びたりすることもあります。
マニュアル作成の委託範囲と内容
「マニュアル作成を委託する」といっても、委託できる範囲や内容はさまざまです。
依頼先にもよりますが、マニュアル作成全体をまるごと委託するだけでなく、作業範囲を絞って依頼することもできます。
マニュアル作成を外部に委託するときの委託範囲と内容について詳しく解説していきます。
マニュアル作成の委託範囲
マニュアル作成を外部の業者に委託する場合の委託範囲としては、
・マニュアル全体
・企画や構成のみ
・原稿作成
・図や表、画像、イラストの作成
・印刷や製本
などがあげられます。
マニュアル作成では事前に企画を立て、マニュアルの構成などを決めていきますが、その作業のみを委託することも可能です。
企画や構成をこちらで考え、その内容にそって原稿作成のみを代行してもらうこともできますし、マニュアルに挿入する図や表、イラスト、画像などの作成のみを委託することもできます。
また、マニュアルの原本をこちらで作成し、印刷や製本などの作業のみをお願いすることもできます。
委託できる内容
マニュアル作成の外部委託では、マニュアルの新規作成はもちろん、既存のマニュアルの更新や電子化なども依頼することができます。
「自社でマニュアルを作成したものの、クオリティが低い…」という場合は、専門家に外部委託して修正してもらい、マニュアルのクオリティを高めることができます。
業務内容や工程のアップデート、製品やサービスのアップデートなどにあわせてマニュアルの更新を依頼し、マニュアルの情報を最新のものにアップデートしてもらうことも可能です。
また、既存の紙のマニュアルをPDFやHTMLなの形式にしてもらい、電子化する作業をお願いすることもできます。
マニュアル作成を外部に委託する方法
マニュアル作成の委託方法には、「代行会社に依頼する方法」と「フリーランスに依頼する方法」という2種類の方法があります。
それぞれ費用感やメリット・デメリットが異なるので、それらを把握し、どの方法で委託するか検討しなくてはいけません。
それぞれの委託方法について解説していきます。
代行会社に依頼する
マニュアル作成を外部に委託する方法の一つ目が、代行会社に依頼する方法です。
マニュアル作成の代行を自社のサービスとして提供している分、クオリティの高いマニュアルを作成してもらうことができますし、依頼する会社によっては運用など作成した後のサポートも受けられます。
一方、フリーランスに依頼する場合に比べて価格が高めに設定されていることが多く、マニュアルの作成を全体的に依頼する場合、数十万円程度の費用がかかることになります。
マニュアルの作成にかかるコストよりもマニュアルのクオリティを重視する企業におすすめの委託方法だと言えるでしょう。
フリーランスに依頼する
マニュアル作成を外部に委託する方法の二つ目が、フリーランスに依頼する方法です。
ランサーズなどのクラウドソーシングサービスやXなどのSNSなどで対応してくれるフリーランスを探し、依頼します。
依頼するフリーランスにもよりますが、代行会社よりも安く依頼できるケースがほとんどです。
一方、納品されるマニュアルのクオリティや仕事に対する姿勢の差が激しいため、委託先の選定がとても重要になってきます。
また、対応してもらっている最中に連絡がとれなくなるなどのトラブルが起きやすい方法でもあります。
失敗しない委託先の選び方
納品されるマニュアルのクオリティや対応の善し悪しは委託先によって異なるため、マニュアル作成を外部に委託する場合、委託先は慎重に選ぶようにしなくてはいけません。
委託先を選ぶ際のポイントとしてあげられるのが、
・マニュアル作成に関する実績を確認する
・得意分野やサービスの内容を確認する
・問い合わせへの対応を確認する
・見積もりを作成してもらい相場と比較する
・口コミをチェックする
の、5点です。
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
マニュアル作成に関する実績を確認する
委託先を選ぶ際にまず確認しておきたいのが、マニュアル作成に関する実績です。
マニュアル作成に関する実績が豊富であればあるほど、クオリティの高いマニュアルを納品してもらえる可能性が高まります。
いくら価格が安くてもクオリティの低いマニュアルを納品されてしまっては意味がありませんので、代行会社のホームページに記載されている実績に関する情報や事例をチェックし、しっかりとした実績のある業者に委託するようにしましょう。
クラウドソーシングサービスやSNSでフリーランスを探して依頼する場合は、ポートフォリオを提出してもらうようにしてください。
契約の関係で公開していないケースもありますが、実績が豊富なフリーランスであれば一つや二つ公開できる実績や事例があるはずなので、確認した上で委託するかどうかを決めるようにしましょう。
得意分野やサービスの内容を確認する
「マニュアル」と一口に言ってもその種類はさまざまです。
社内で使用する業務マニュアルもあれば新入社員の教育に用いるマニュアルもありますし、製品やサービスの使い方を説明するマニュアルもあります。
紙のマニュアルやデジタルデータ、動画マニュアルなどフォーマットもさまざまですし、ITツールの操作に関するマニュアルや工業製品の使い方に関するマニュアルなどジャンルもさまざまです。
マニュアル作成を代行している会社やフリーランスには得意分野があるので、委託先を選ぶ際は、これから作ろうとしているマニュアルの作成を得意としている代行会社やフリーランスを委託先として選ぶようにしましょう。
また、マニュアル作成にともなうサービスの内容も委託先によって異なるので、サービスの内容についてもチェックした上で選ぶようにしてください。
問い合わせへの対応を確認する
マニュアル作成の委託先を選ぶ際は、丁寧かつ真摯に対応してくれるかどうかも重要になります。
そこでチェックしておきたいのが、こちらの問い合わせへの対応です。
まだ契約につながるかわからないこちらの問い合わせに対して丁寧に対応してくれる代行会社やフリーランスは、マニュアル作成に対しても丁寧かつ真摯に対応してくれます。
一方、契約する前の問い合わせの段階で対応が雑だったり、問い合わせへの返信がなかなか返ってこないなど真摯に対応してくれない代行会社やフリーランスは、契約して実際にマニュアル作成を依頼した後も、丁寧に仕事をしてくれなかったり真摯に対応してくれない可能性が高いのでおすすめできません。
委託先を選ぶ際は、契約前に必ず問い合わせや見積もりの作成を依頼して、どう対応してくれるか確認するようにしてください。
見積もりを作成してもらい相場と比較する
マニュアル作成の委託先選びではコストパフォーマンスも意識しなくてはいけません。
どれだけ実績があって丁寧に対応してくれる委託先でも、マニュアル作成の価格が高く、予算を大幅にオーバーするようでは依頼できません。相場より高くついてしまう場合も同様です。
多少相場より高くても予算内におさまるのであれば問題ないかもしれませんが、価格とクオリティ、サービス内容などを比較した上で委託先を決めることが大切です。
委託先を選ぶ際は、複数の代行会社やフリーランスに同じ内容・同じ条件で見積もりの作成を依頼し、よりコストパフォーマンスの高いところに依頼するようにしましょう。
口コミをチェックする
マニュアル作成の委託先を選ぶ上で参考になるのが他者の評価です。
「〇〇(委託を検討している会社名) 口コミ」などで検索し、実際にマニュアル作成を依頼した人や依頼しようとした人の評価をチェックするようにしましょう。
最近はSNSに口コミが投稿されていたりすることも多いので、SNSでリサーチするのもおすすめです。
フリーランスの場合は、クラウドソーシングサービスなどプラットフォーム側の評価制度で口コミをチェックすることができます。
例えば、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスの場合であれば、案件終了後にクライアントから評価されるような仕組みになっており、そのフリーランスの紹介ページで評価の内容を細かくチェックできるようになっているので、委託先を決める上で非常に参考になります。
マニュアルの作成を委託するときの注意点
マニュアル作成を外部の業者に委託する場合、業者選び以外にもいくつか注意するべきポイントがあります。
主な注意点としてあげられるのが、以下の3点です。
・委託範囲や作業内容を明確に決めておく
・修正対応の不可や金額が発生するかどうかを確認しておく
・セキュリティや情報漏洩への対応・考え方をチェックしておく
これらの注意点を意識せずにマニュアル作成を委託してしまうとトラブルに発展してしまう可能性もあります。
それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
委託範囲や作業内容を明確に決めておく
紹介してきたとおり、マニュアル作成の委託では、
・企画や構成
・原稿作成
・図や表、イラストの作成
など、工程や作業範囲を絞って委託することも可能です。
範囲を絞って委託できるのは非常に便利なシステムだと言えますが、その分「ここまで対応してもらえると思って依頼したのに対応してもらえなかった」などのトラブルに発展しやすいという側面もあるので注意しなくてはいけません。
代行会社やフリーランスに委託する際は、委託範囲と作業内容を明確にしてから見積もりを作成してもらうようにしましょう。
そのうえで見積もりの金額を確認し、委託範囲や作業内容と見積もりの金額が見合っていると思える場合のみ依頼するようにしてください。
修正対応の不可や金額が発生するかどうかを確認しておく
代行会社やフリーランスにマニュアル作成を委託するときに発生しがちなのが、修正対応に関するトラブルです。
納品されたマニュアルのクオリティが納得できるものでない場合や内容に誤りがある場合は修正してもらわなくてはいけません。
ただ、修正作業にも工数がかかるため、無料で修正を依頼できる回数が決まっていたり、修正対応を依頼した場合は納期が延びるなど条件が設定されていることも珍しくありません。
無料での修正はおこなっておらず、初回の修正から追加費用が発生するようなケースもあります。
委託でのマニュアル作成では修正がまったく発生しないことの方が珍しいと言っても過言ではないので、修正が発生したタイミングで揉めないためにも、契約前に修正に関する条件を必ずチェックしておくようにしましょう。
セキュリティや情報漏洩への対応・考え方をチェックしておく
マニュアル作成を委託する上で最も注意しなくてはならないのが「情報漏洩」です。
マニュアル作成の委託では、実際の作業を代行会社やフリーランスに任せることになるため、セキュリティや情報漏洩に対する対策を完全にコントロールすることができません。
そのため、委託先となる代行会社やフリーランスのセキュリティ対策のチェックが重要になります。
マニュアルに特定の個人の情報が記載されるようなことはないので個人情報の漏洩については心配ありませんが、日々の業務内容や製品・サービスに関する情報が漏洩してしまう可能性はあります。
いくら個人の情報が掲載されていないとは言え、機密情報の漏洩は顧客からの信用を損なう恐れがあるので、委託先のセキュリティ対策や情報漏洩への対策についても確認し、しっかりと対策されている委託先に委託するようにしましょう。
マニュアル作成を委託ではなく内製するメリット・デメリット
マニュアル作成には自社で内製するという方法もあります。
内製には内製ならではのデメリットがありますが、外部に委託する方法にはないメリットもあります。
マニュアル作成を外部に委託するべきかどうかは、内製のメリット・デメリットを踏まえながら比較しながら決めるべきです。
マニュアルを委託で作成するのではなく内製するメリット・デメリットについて解説していきます。
マニュアル作成を内製するメリット
マニュアル作成を外部に委託するのではなく自社で内製するメリットとしては、
・マニュアル作成にかかる費用を抑えることができる
・マニュアル作成に関するノウハウを社内に蓄積できる
・委託先とのやりとりやトラブル対応に手をわずらわされることがない
などがあげられます。
内製の最大のメリットが、マニュアル作成にかかるコストの削減です。
マニュアル作成を外部に委託する場合、数十万円単位の費用が発生することになりますが、内製であれば外注費用をまるまる削減できます。
マニュアル作成に関するノウハウを社内に蓄積できる点も非常に魅力的で、今後も定期的にマニュアルを作る予定がある企業にとっては非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
また、委託先の担当者とのやりとりや修正対応などでのトラブルが発生することがなく、マニュアル作成に集中できる点も大きなメリットになります。
マニュアル作成を内製するデメリット
委託での外注にはないさまざまなメリットがあるマニュアルの内製ですが、
・マニュアルのクオリティが低くなる可能性がある
・スピード感をもって進めることができない
などのデメリットもあります。
これまで本格的なマニュアルを作成してきたことがない企業の場合、マニュアル作成に関するノウハウがないので、時間をかけたとしてもクオリティの低いマニュアルに仕上がってしまう可能性があります。
業務で使用するマニュアルはもちろん、製品やサービスの取扱説明書としてユーザーが使用するマニュアルには一定以上のクオリティが求められるため注意が必要です。
また、ノウハウや経験がない分、マニュアルを作るのにも時間がかかります。
一から手探りで進めていくため仕方のない部分ではありますが、スピード感をもって進めることができない点にも注意しなくてはいけません。
まとめ
マニュアル作成の外部委託は確かに魅力的ですが、デメリットや注意点もあります。
特に重要なのが委託先の業者選びで、業者選びを誤ってしまうとクオリティの低いマニュアルを納品されてしまう可能性があるため注意しなくてはいけません。
今回紹介した内容を参考にしてもらいながらマニュアル作成の外部委託を進めてもらえれば、業者選びなどで失敗する可能性はかなり低くなりますし、トラブルも避けられるようになるはずなので、ぜひ参考にしながら進めてみてください。
また、マニュアル作成には内製するという方法もあるので、外部委託とメリット・デメリットを比較し、どちらの方法で進めるべきか検討してみてください。