動画マニュアルとは
動画マニュアルは、映像を駆使して情報を伝える新しいタイプのマニュアルです。
これまでマニュアルと言えばテキストベースの紙のマニュアルが一般的でしたが、スマートフォンやパソコンなどのデバイスが広く普及し、いつでもどこでも気軽に動画を視聴できる環境が整ったことで、紙のマニュアルから動画マニュアルに移行する企業が増えてきているという背景があります。
動画マニュアルの活用方法はさまざまで、企業が社員向けのマニュアルとして動画マニュアルを活用することもありますし、自社の製品やサービスを使用してくれている顧客に対し、製品やサービスの使い方などを説明するための手段として動画マニュアルが用いられることもあります。
動画マニュアルを作成するメリット
動画マニュアルは紙のマニュアルの弱点を補ってくれる新しいマニュアルとして注目されていると紹介してきましたが、実際どういったメリットがあるのでしょうか?
動画マニュアルの主なメリットとしてあげられるのは、以下の4点です。
・情報が伝わりやすい
・短時間で多くの情報を伝えられる
・共有しやすい
・コストを抑えやすい
それぞれのメリットについて詳しく紹介していきます。
情報が伝わりやすい
紙のマニュアルの場合、テキストや画像が情報を伝えるための主な手段になりますが、テキストや画像だけだと情報が伝わりにくいというデメリットがあります。
一方、動画マニュアルの場合、映像や音声などさまざまな情報の伝達手段を駆使することができるので、テキストや画像で伝える紙のマニュアルよりも情報が伝わりやすいという強みがあります。
例えば、専門的な機械やツールの操作方法を説明する場合、テキストや画像だと「伝えたいことがうまく伝わらない…」というケースも少なくありません。
一方、実際に操作している映像を交えながら説明できる動画マニュアルであれば、複雑な操作方法や作業の内容もしっかり伝えることができます。
また、音声を活用することもできるので、細かなニュアンスもしっかり伝わりますし、テロップや効果音を取り入れることもできるので、注意点やポイントについてもきちんと伝えることができます。
短時間で多くの情報を伝えられる
動画マニュアルには、短時間で多くの情報を伝えられるというメリットもあります。
テキストと画像が主な情報の伝達手段となる紙のマニュアルの場合、細かな操作方法や使い方について解説しようとすればするほどテキストや画像の量が増え、長くなってしまいます。
テキストや画像の量が多くなるとマニュアルを確認する側の心理的ハードルが高くなりますし、必要な情報をピンポイントで見つけるのも難しくなってしまいがちです。
一方、動画マニュアルの場合は、映像や音声などさまざまな方法を駆使して情報を伝えることができるので、短い時間でより多くの情報を伝えることができます。
映像で伝えられる情報の量は文字の5,000倍とも言われているので、複雑なマニュアルや情報量の多いマニュアルほど動画マニュアルの方が適していると言えるでしょう。
共有しやすい
共有のしやすさも、紙のマニュアルにはない動画マニュアルの強みの一つです。紙のマニュアルはボリュームがあるので、持ち運ぶのに適していません。
社内で使用する業務用のマニュアルなど秘匿性の高いものは社外への持ち出しが禁止されていることも多く、会社にいるときにしかマニュアルをチェックできないというデメリットもあります。
一方、動画マニュアルは、共有できる環境が整ってさえいれば、スマートフォンやパソコンなどのデバイスを通していつでもどこでも好きなタイミングでマニュアルを確認することが可能です。
秘匿性の高いマニュアルを共有する場合は社用の端末からしかマニュアルにアクセスできないようにしたりシステムや端末にパスワードを設定するなど情報漏洩への対策が必要になりますが、その条件さえクリアすれば社外でも共有できるようになります。
コストを抑えやすい
後ほど詳しく紹介しますが、動画マニュアルを作成するにはカメラやマイクと言った撮影機材への初期投資が必要です。
そのため、初期投資の面では紙のマニュアルよりもコストがかかることになりますが、先述したとおりデジタルデータとして共有することができるので、印刷コストが発生することはありません。
ボリュームのあるマニュアルだとインク代も結構な金額になりますし、マニュアルの数が多ければ多いほど印刷代がかさみます。
複数の社員が一つの会場に集まって研修をおこなう場合、マニュアルを人数分印刷して共有している企業も少なくないと思いますが、デジタルデータで共有できる動画マニュアルであれば、その場合もコストが発生することはありません。
また、人数分のマニュアルを印刷する手間も省けます。
同じクオリティで教育できる
動画マニュアルを作成するメリットは、同じクオリティで教育できることです。動画は視覚と聴覚を組み合わせたメディアであり、手順や操作方法を生き生きと示すことができます。
例えば、製品の組み立て手順をテキストで説明する場合、読み手の理解度やスキルによって誤解が生じる可能性がありますが、動画で示すことで一貫性のある教育が可能です。
また、実演やデモンストレーションを動画で行うことで、実際の手順や操作の様子をリアルに伝えることができます。さらに、教える人の技術に差が生まれることなく、同じクオリティの教育ができます。
これにより、視聴者は効果的に学習することができるうえ、時間や場所に限らず高い水準のクオリティが担保された教育を受けることができます。
動画マニュアルは、視聴者にとって理解しやすく習得しやすいメディアであるとともに、複数の人に同じクオリティの教育ができるメディアともいえます。
社員の負担が減る
動画マニュアルの作成は、社員の教育時の負担を軽減するメリットがあります。伝統的な教育方法では、トレーナーが社員に対して一対一で指導を行い、手順や操作方法を説明します。
しかし、時間や場所の制約があるため、それぞれの社員に対して同じ内容を繰り返し教えるのは、特定の社員に負担がかかってしまいます。しかし、動画マニュアルを活用すれば、その負担を軽減することができます。
新入社員の研修を例にすると、動画マニュアルを使用すれば、基本的な業務プロセスやシステムの操作方法を効果的に伝えることができます。新人社員は自分の都合に合わせて動画を視聴し、自己ペースで学習できます。
トレーナーになる社員や上司は、動画マニュアルの案内や細かい質問などに応える対応をすればよく、負担が軽減され他の業務に集中することができるようになります。
繰り返し視聴できることにおいてはむしろ、直接指導するより学習効率が上がるとも言えます。動画マニュアルを使用することで教育する社員の負担を減らせるうえ、効率的な教育手段として生産性を向上させる役割も果たせます。
動画マニュアルを作成するデメリット
紙のマニュアルの弱点を補い、さまざまなメリットをもたらしてくれる動画マニュアルですが、デメリットが一つもない完璧なマニュアルというわけではありません。
動画マニュアルの主なデメリットとしては、以下の3点があげられます。
・用意するのに時間と手間がかかる
・専門的な知識と技術が必要になる
・初期投資が必要
実際に動画マニュアルを導入するかどうかは、メリットとデメリットを比較しながら検討するべきです。
動画マニュアルのデメリットについて詳しく紹介していきます。
用意するのに時間と手間がかかる
動画マニュアルは紙のマニュアルに比べ、用意するのに時間と手間がかかるというデメリットがあります。
紙のマニュアルは、必要な情報が集まったら、後はそれらの情報をまとめてマニュアル化していくだけです。
一方、動画マニュアルを作成する工程はそれほど単純ではありません。マニュアルを作成するのに必要な情報が集まったら、その情報を映像でどう伝えるか考え、絵コンテを作成するなどして必要な映像をリストアップしなくてはいけません。
また、セリフやナレーションを含む動画を作成するのであれば、セリフやナレーションのことも考慮して台本を作成する必要があります。台本を作成した後は撮影をおこなう必要がありますし、編集作業もあります。
紙のマニュアルであれば数日で形になるものが、動画マニュアルだと一ヶ月以上かかってしまうというケースも少なくないので、動画マニュアルの作成には紙のマニュアルを作成するとき以上の根気が必要だと言えるでしょう。
専門的な知識と技術が必要になる
動画マニュアルの作成方法には映像制作会社に外注する方法と自社で内製する方法があります。
制作会社に外注する場合、制作にかかる時間や手間を大幅に削減できるため非常に魅力的ですが、外注費が発生するというデメリットがあります。
そのため、何とか内製で対応したいと考えている企業も多いかと思いますが、内製するには動画制作に関する基本的な知識と技術を習得しなくてはなりません。
映像の撮影の仕方や編集ツールの使い方、具体的な編集の仕方などを習得しないと動画マニュアルを作ることができないので、まずはこれらを学んで身につける必要があるわけです。
社内に動画制作に明るい人間がいない場合は、担当者が一から学んで知識や技術を習得することになるので、実際に動画マニュアルを作り始められるようになるまでにある程度の時間が必要になりますが、この点も動画マニュアルならではの大きなデメリットだと言えるでしょう。
初期投資が必要
動画マニュアルは紙のマニュアルのように印刷することなく簡単に共有できるので、一度作ってしまいさえすれば、高いコストパフォーマンスを発揮してくれます。
ただ、初期投資にはある程度まとまった金額が必要になるので注意しなくてはいけません。
動画マニュアルを作成する際に必要になるものとしては、
・カメラ
・マイク
・三脚
・照明
などがあげられます。
また、撮影した映像を編集するアプリも用意しなくてはいけませんし、動画編集にはそれなりのスペックを備えたパソコンが必要になるので、パソコンを用意しなくてはならない場合もあります。
これらをすべて一から揃えるとなると数十万円単位の初期投資が必要になるので注意が必要です。
最近のスマートフォンには高性能のカメラが搭載されているので、スマートフォンでも撮影は可能です。
ただ、今後も社内でマニュアルとして使用し続けることを考えると、やはりしっかりとしたカメラで撮影して映像のクオリティを担保しておきたいところなので、動画マニュアルを導入するのであれば、設備への初期投資が必要になることを念頭においておくようにしましょう。
動画マニュアルを外注依頼する
動画マニュアルを用意する場合、外部の映像制作会社に依頼して用意することも可能です。
ただ、外注に失敗してしまう事例も少なくありません。
・動画マニュアルの外注を成功させるためには、
・動画マニュアルを外注で作るメリット
・動画マニュアルを外注で作るデメリット
・外注会社の選び方のポイント
・外注依頼時の費用の目安
などを押さえておくことが大切です。
それぞれ詳しく解説していきます。
動画マニュアルを外注で作るメリット
動画マニュアルを外注で作る主なメリットとしては、
・動画の作成に時間や人員を割く必要がない
・クオリティの高い動画マニュアルを作れる
・初期投資が必要ない
などがあげられます。
動画マニュアルの作成を外部の制作会社に外注する場合、打ち合わせや撮影への参加こそ必要になりますが、その他の作業はすべて制作会社が代行してくれるので時間や手間がかかりません。
動画制作の担当者を立てる必要もありませんし、映像制作について一から学ぶ必要もありません。
制作会社は映像制作のプロなので、クオリティの高い動画マニュアルを作れるというメリットもあります。また、カメラやマイク、照明などの機材は制作会社のものを使用するため、こちらで用意する必要がありません。
本来であれば撮影機材を揃えるのにかかる数十万円の初期投資をまるまる節約できます。
動画マニュアルを外注で作るデメリット
魅力的なメリットの多い外注での動画マニュアルの作成ですが、外注ならではのデメリットもあるので注意しなくてはいけません。
動画マニュアルを外注する上で注意しなければならない主なデメリットとしては、
・外注費がかかる
・社内に動画制作のノウハウがたまらない
・やりとりに時間と手間がかかる
・イメージと異なる動画になる可能性がある
などがあげられます。
動画の制作を制作会社やフリーランスのクリエイターに外注する場合、1本あたり数万円〜数十万円の外注費がかかります。
作成する動画マニュアルの本数が多くなればなるほど外注費もかさむので、マニュアルの本数が多くなってしまうときは注意が必要です。
マニュアル動画の外注には手間のかかる作業をすべて代行してもらえるというメリットがありますが、そうなると社内に動画制作のノウハウがたまらないので、毎回動画の作成を外注することになります。
動画の作成を外注する場合、制作会社の担当者やフリーのクリエイターと打ち合わせをおこなったり、その都度メールやチャットツール、電話で連絡を取り合うことになりますが、このやりとりで時間を消費してしまうことも珍しくありません。
また、打ち合わせや普段のやり取りでこちらの意図やイメージをしっかり伝えることができていないと、想定していたものと異なる仕上がりになることもあるので、外注する際はその点も意識して業者側の担当者とやり取りする必要があります。
外注会社の選び方のポイント
外注でのマニュアル動画の作成が上手くいくかどうかは、制作会社選びですべてが決まると言っても過言ではありません。
外注会社を探すときに意識したいポイントとしては、
・事例をチェックする
・担当者の対応をチェックする
・複数の業者を比較する
の、3点があげられます。
動画の作成を依頼する会社を選ぶ際は、まずその制作会社のホームページに掲載されている事例をチェックしましょう。
事例をチェックすることでその制作会社が作成する動画のクオリティがわかります。マニュアル動画の事例が掲載されているとなおよしです。
事例が掲載されていない制作会社はどういった仕上がりになるかイメージしづらいので避けるようにしてください。
また、問い合わせをおこなったときの担当者の対応や見積もりの作成を依頼したときの担当者の対応も必ずチェックするようにしましょう。
丁寧に対応してくれるかどうかはもちろん、提案力が高いかどうかやレスポンスが早いかどうかなどもチェックしておきましょう。
制作会社を選ぶ際は、複数の会社を比較しながら選ぶことも大切です。
比較しないと担当者の対応の良し悪しや提案された価格が適切かどうかがわからないので、3〜5社ほど比較しながら選ぶようにしてください。
外注依頼時の費用の目安
動画マニュアルの作成を外注する場合、1本あたり10〜30万円ほどの費用がかかります。
ただ、外注費用は、
・制作を依頼する業者
・動画の内容
・動画の長さ
・動画の本数
など、さまざまな条件によって増減するので注意してください。
動画が長くなればなるほど費用もかさみますし、作成する動画マニュアルの本数が多くなればなるほど高額になります。
実際の費用は見積もりを作成してもらうまでハッキリしませんし、同じ内容の動画を作成する場合であっても、依頼する業者によって金額が大きく異なったりするので、複数の業者に見積もりの作成を依頼した上でどの会社に依頼するかを決めるようにしましょう。
動画マニュアルを内製化で作成する
「動画マニュアルを導入したいと考えているものの、マニュアル作成を外注できるほど予算に余裕があるわけではない…」という企業も少なくないかと思います。
そういった企業におすすめなのが、動画マニュアルの内製です。
ここでは、動画マニュアルを内製する前に把握しておきたい、
・動画マニュアルを内製するメリット
・動画マニュアルを内製するデメリット
・動画マニュアルの内製化を成功させるポイント
などについて詳しく解説していきます。
動画マニュアルを内製するメリット
動画マニュアルを外注ではなく内製で用意するメリットとしては、
・外注費を節約できる
・社内に動画制作のノウハウがたまる
・スピード感をもって動画制作に取り組める
などがあげられます。
動画マニュアルを内製する場合、制作会社に制作を依頼する際にかかる外注費をまるまる節約できます。
先述したとおり動画の外注費は安くても数万円、高い場合だと数十万円以上かかることもあるので、その費用をまるまる節約できるのは非常に魅力的だと言えるでしょう。
また、動画を自社で制作するので、動画を作れば作るほど社内に動画制作のノウハウがたまっていきます。
ノウハウがたまればたまるほどより良い動画を作れるようになりますし、動画を制作するスピードも早くなっていくので、この点も内製化ならではの魅力的なメリットになります。
外注すると、どうしても制作会社側のスケジュールに合わせることになるので、スムーズに進まずにやきもきさせられることも少なくありません。
動画を内製することで制作会社側の担当者と連絡を取り合う必要がなくなったり、こちらのペースでスピード感をもって動画制作に取り組める点も、内製化ならではの大きなメリットになります。
動画マニュアルを内製するデメリット
外注にはないメリットがある動画マニュアルの内製ですが、デメリットがないわけではありません。
動画マニュアルを内省するときに注意するべき主なデメリットとしては、
・初期投資が必要
・最低限の知識とスキルを身につける必要がある
・動画のクオリティが低くなってしまう可能性がある
などがあげられます。
外注費をまるまる節約できる点を内製化のメリットとして紹介してきましたが、撮影機材を揃えるための初期投資は必要になるので注意しなくてはいけません。
カメラにマイク、照明など最低限必要のアイテムを揃えるだけでも数十万円の初期投資が必要になるので、動画を複数作る予定がないのであれば外注することを検討した方がいいかもしれません。
また、社内に動画制作に明るい人がいない場合は、担当者が動画制作について学び、最低限の知識とスキルを身につける必要があります。
カメラなどの機材の使い方や編集ツールの使い方についてはもちろん、最低限のクオリティを担保するには映像の撮影方法や情報が伝わりやすい編集の仕方などについても学ばなくてはいけません。
最低限の知識やスキルを身につけるのに時間がかかってしまう点は、内製化ならではの大きなデメリットだと言えます。
動画マニュアルの内製化を成功させるポイント
動画マニュアルの内製化を成功させるために押さえておきたい主なポイントとしては、
・しっかり企画する
・事例から学ぶ
・意見をもらいながらブラッシュアップしていく
などがあげられます。
動画マニュアルを内製化する場合、動画制作のノウハウがない状態で始めることになるので、どうしてもクオリティが低下してしまいがちです。
これまで動画を作ってきたことがないので当然と言えば当然なのですが、社内でマニュアルとして使用したり製品やサービスを購入してくれたユーザーにマニュアルとして提供することを考えると、クオリティの低い動画マニュアルは避けたいところです。
そのため、多少時間がかかったとしてもしっかりと企画し、クオリティを高める土台を作っておくことが重要になります。
また、他社の事例を参考にするのもおすすめです。事例から学べることは多いので、参考になりそうな動画をたくさん視聴し、取り入れられそうなポイントはどんどん取り入れましょう。
動画は、データさえ残っていれば後から編集し直すことができるので、動画に関する意見を募集し、それらの意見を取り入れながらどんどんブラッシュアップさせることも大切です。
そうすることで、内製でもクオリティの高い動画を作れるようになります。
動画マニュアルの作成手順
動画マニュアルを作成する際の手順は以下のとおりです。
1.企画する
2.台本を作る
3.撮影する
4.編集する
5.チェックする
チェックまで完了すると公開したり共有したりできるようになります。
それぞれの手順について詳しく解説していきます。
①企画する
まず最初におこなうのが「企画」です。どういった動画マニュアルを作成するかについて企画していきます。
企画の段階では、ターゲットを明確にして、どういった内容の動画であれば伝えたい情報がきちんと伝わるかを考えていきます。
ターゲットが明確になっていないと、作成する動画の芯が立たず、後々の作業にも影響する可能性があるので注意しましょう。
②台本を作る
企画が完了したら、その企画を元に動画の台本を作っていきます。動画に含めるべき内容を洗い出し、最適な順番で構成していきましょう。
また、必要な映像やセリフを決めておくことも大切です。必要な映像やセリフが決まっていないと、撮影や編集の段階になってあわてることになるので、しっかりと設定しておくようにしましょう。
③撮影する
台本が完成したら、その台本にそって撮影をおこなっていきます。
動画制作では、編集の段階になって素材が足りないことに気づいたり、素材の長さが足りないことに気づき、再度撮影が必要になってしまうケースが少なくありません。
そうならないためにも、それぞれの映像を10秒程度長めに撮影しておいたり、さまざまな映像を撮影するなどして素材を充実させておくようにしましょう。
④編集する
撮影が完了したら、撮影した素材を編集して一つの動画にしていきます。
テンポの悪い動画は、視聴者に違和感を抱かせたり飽きさせる可能性があるので、テンポを意識しながら編集をおこなうようにしてください。
また、テロップやSEをうまく活用し、重要なポイントや注意点がしっかりと伝わるような編集をおこなうようにしましょう。
⑤チェックする
編集が完了した後は、動画の内容をチェックして完了となります。
間違った情報を伝えてしまうと思わぬトラブルにつながってしまいかねないので、情報の正確性も意識しながらチェックするようにしましょう。
動画マニュアル作成時に意識すること
動画マニュアルを作成する手順がわかりましたが、実際にマニュアルを作成する時にはどの様な点に気を付ければ良いのでしょう。ここからは動画マニュアルを作成する時に注意すべきことを解説します。
知識がない人が見ることを想定して説明する
動画マニュアルを作成する際に意識するべきポイントは、知識がない人が見ても理解できるように説明することです。
具体的な例として、新しいソフトウェアの操作方法を説明する場合には、専門的な用語や技術的な表現を避け、わかりやすい言葉を使用するようにします。視聴者が初めてそのソフトウェアに触れる場合でも、説明を聞いただけで使用できるくらいわかりやすくすることが重要です。
また、視覚的な要素も活用し、画面上の操作を視聴者に直接示すようにするとより理解を深めることができます。その際には、カーソルの動きやクリック操作を強調するように、表示の工夫もできることが望ましいです。
視覚的にわかりやすく具体的に操作の支持をだすことで、視聴者がどのように操作を行うかを明確に示します。マニュアルを視聴する人は知識がないということを想定して、誰でもわかりやすく明確な説明をすることで、動画マニュアルの効果を最大化することができます。
図やグラフを活用する
動画マニュアルを作成する際に意識するべきポイントは、図やグラフを活用することです。図やグラフは視覚的な情報伝達手段として非常に効果的であり、複雑な概念やデータを分かりやすく説明するのに役立ちます。
具体的な例として、製品の組み立て手順を説明する場合、図を使って各パーツの配置や取り付け方を示すことで、視聴者は一目で理解できます。もしこれが、文章や音声だけの説明になると、操作感を想像することは大変難しくなってしまいます。
また、数値や統計データを説明する場合には、グラフやチャートを活用することで、視覚的に情報を整理し、分かりやすく伝えることができます。
図やグラフは言葉だけでは伝えづらい情報を補完し、視聴者の理解を助ける強力なツールとなります。動画マニュアルに図やグラフを取り入れることで、視覚的な情報提示が可能となり、より効果的な伝達が実現します。
テロップをいれる
動画マニュアルを作成する際に意識するべきポイントは、テロップを活用することです。テロップは画面上に表示される文字情報であり、視聴者に重要なメッセージや指示を提供します。
具体的な例として、製品の組み立て手順を説明する場合、テロップを使って各工程や注意事項を表示することで、視聴者は簡単に情報を確認できます。
また、操作方法を説明する際には、画面の特定の部分を強調するために、テロップを使って「ここをクリック」といった指示を表示することも効果的です。
さらに、キーワードや重要なポイントには、色を変えたり文字の大きさや太さを変えて強調することで、視聴者の注意を引きやすくなります。
テロップは視覚的に情報を伝えるための強力なツールであり、動画マニュアルの理解をサポートする役割を果たします。
ただし、テロップの文字が小さかったり、文字数が多くなりすぎると逆に理解を妨げてしまうので、分量に注意して使うようにしましょう。
動画時間を長くしすぎない
動画マニュアルを作成する際に意識するべきポイントは、動画の長さを適切に制御することです。視聴者の関心を引き続けるためには、長すぎず短すぎないバランスが重要です。
具体的な例として、製品の使用方法を説明する場合、長い動画では視聴者の集中力が低下し、情報の吸収が困難になります。
説明が長かったり難しかったりすれば、余計視聴者の興味を長時間ひき続けるのは難しくなります。単に時間が短ければ良いのかというと必ずしもそうではありません。
短い動画では詳細な説明が不十分で、視聴者が必要な情報を得られない場合もあります。
適切な動画の長さは、コンテンツの性質や目的、視聴者のニーズに合わせて決定されます。一般的には、2〜5分程度が理想的とされますが、必要な情報を的確に伝えるためには、適宜調整する必要があります。
視聴者の注意を引きつけ、情報を効果的に伝えるためには、動画の長さを適切に管理することが重要です。動画時間は長くなり過ぎないように注意しましょう。
【用途別】動画マニュアルの作成ポイント
「動画マニュアル」とひとくちに言っても、その種類はさまざまです。動画の種類が異なれば、動画を作成するときに意識するべきポイントも異なってきます。
ここでは、動画マニュアルを作成するときのポイントを、動画の用途別に紹介していきます。
操作説明・チュートリアルの動画マニュアル
機器やツールの操作説明動画やチュートリアル動画を作成する際は、実際にその機器やツールを操作している様子を映像として見せながら解説するような内容にすると、伝わりやすいマニュアル動画を作れるようになります。
例えば、機械の操作方法に関する動画マニュアルを作成する場合であれば、実際に操作している様子を見せつつナレーションや
テロップで解説するのがおすすめです。
パソコンで使用するソフトやツールの動画マニュアルであれば、画面収録をおこない、その画面収録した映像を用いながら動画を作成すると、わかりやすい動画マニュアルを作れるようになります。
社内研修の動画マニュアル
社内研修用の動画マニュアルを作成する際は、動画のターゲットを意識することが何よりも重要です。
社内研修は新入社員やその業務に携わったことがない初心者に対しておこなわれることがほとんどなので、なるべく丁寧に解説してあげる必要があります。
図解を活用するなどして、ちょっとやりすぎだと思われるくらい丁寧に解説するようにしても問題ありませんので、その点を意識しながら作成するようにしてください。
営業・接客の動画マニュアル
営業や接客を学ぶための動画マニュアルには臨場感が求められます。
ただ説明されるだけだと臨場感に欠けてしまい、イメージしづらくなってしまうので、営業や接客をおこなう役とお客さんの役の両方を用意し、実際に営業したり接客している様子を交えながら解説する臨場感のある動画マニュアルを作成するようにしましょう。
業務効率化の動画マニュアル
業務効率化のための動画マニュアルでは、おこなっている作業がどのようにして業務効率化につながるのかをわかりやすく解説してあげることが重要になります。
「これってやる意味あるの?」「これが本当に業務効率化につながるの?」などの疑問を解消しないまま動画を見進めてもらっても業務効率化にはつながらないので、具体的な作業の解説に移る前に、この作業をおこなう理由やおこなうことでどう効率化につながるのかなどについての解説を入れるようにしましょう。
参考になる動画マニュアル事例
実際に動画マニュアルを内製で作り始める際、積極的にチェックしておきたいのが他社の動画マニュアルの事例です。
YouTubeなどの動画配信プラットフォームには、動画マニュアルを作成する上で参考になる企業の事例がいくつも公開されています。
それらの事例をチェックすることで、
・動画マニュアルを作成する上で意識するべきポイント
・内容をわかりやすく伝える方法
・視聴者を飽きさせないための工夫
など、より良い動画マニュアルを作成するためのポイントが見えてきます。
ここでは、特に参考になりそうな2つの事例を詳しく紹介していきます。
株式会社ナカオ
業務用のはしごや脚立などを製造・販売している山口県のメーカー、「株式会社ナカオ」。
株式会社ナカオは、自社製品の使い方を解説するマニュアル動画を制作し、YouTubeにアップする形で有効活用しています。
動画を見てもらえるとわかりますが、実際に製品を使用しながら使い方について説明しているので、非常にわかりやすいですし、細かな部分は手元に寄った映像を使用して解説するなどの工夫も取り入れられています。
KDDI株式会社
この動画は、「G Suite」の使用方法について説明したチュートリアル動画です。PC画面のキャプチャを使用しマウスを動かして操作しており、実際の操作画面を想起しやすい構成になっています。
現在の動作が何なのかもテロップを入れているため大変わかりやすい動画になっています。操作説明やチュートリアルのための動画は、より理解のしやすさを重視することが大切です。
日経BP 日本経済新聞出版本部
この動画は、日経BP 日本経済新聞出版本部の新入研修動画です。業務内容を覚える前に、社会人として知っておくべき内容をまとめています。
DVDになっており、社会人1年目の主人公が失敗をしながら学んでいく過程をドラマ仕立てで作成しています。「学生と社会人の違い」や「社会人に必要な5つの意識」など、仕事の基本とルールについて体系立てて学べる動画になっています。
century21
この動画は、不動産会社であるcentury21の接客マニュアル動画です。出演しているのは、2019年度の接客コンテストでグランプリを獲得したスタッフです。
接客の様子は、名刺交換をする場面から始まりお客さまとの会話の様子などが盛り込まれています。できるだけリアルな接客を見て学ぶ教材として作成されています。学習するスタッフは何回も繰り返し見たり、特に見直したい部分を何回も見たりして学ぶことができます。
三井不動産商業マネジメント
この動画は、三井不動産商業マネジメントの「ららぽーと」で働く社員向け業務手順マニュアル動画です。内容は入館や開店準備から営業中、閉店・退館までの流れを説明した動画になっています。
一日の流れに沿って注意点を伝えつつ分りやすく説明されています。施設の中での仕事も、注意点やポイントを動画にすることで分かりやすくなっています。全体像が把握でき、実際の仕事がイメージしやすくなっています。
まとめ
動画マニュアルの導入を検討している企業向けに、動画マニュアルを導入する上で押さえておきたい基本的な知識を深堀りして紹介してきました。
動画マニュアルは作成するのに時間がかかるので、決して気軽に導入できるわけではありません。
ただ、デメリット以上のメリットをもたらしてくれますし、今後動画マニュアルが主流になっていくという時代の流れを考えると、まだ導入している企業が少ない今のうちから導入を真剣に検討するべきです。
最近は動画マニュアルの内製化をサポートしてくれるツールやサービスも充実してきているので、それらのツールやサービスを活用すれば、より効率的に動画マニュアルを内製できるようにもなります。
弊社の「メディア博士」も動画の内製化をサポートする代表的なサービスの一つで、さまざまな業界の企業様に活用していただいております。
メディア博士は、用意されたテンプレートや素材を用いて簡単にハイクオリティな動画を作れるサービスです。
定額制のサービスで、何本動画を作っても料金は変わらないので、動画の本数が多くなってしまいがちな動画マニュアルの作成にうってつけのサービスでもあります。
お客様からもご好評いただいているサービスですので、ぜひご活用ください。