特定の従業員への業務の偏りを防ぐために、業務の平準化に取り組んでいる企業も多いと思います。しかし、これから取り組もうとしている方の中には、「業務の平準化から得られる効果は?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
今回は、業務の平準化から得られる効果やおすすめなツールなどについて紹介します。業務の平準化でお悩みの方やこれから取り組もうとしている方は、ぜひ参考にしてください。
業務の平準化とは業務負担の偏りをなくすこと
業務の平準化とは、業務負担の偏りをなくすことです。特定の従業員や時期に業務負担の偏りがあると、従業員からの不平不満が生じます。さらに、業務負担が偏ると心や体への負担が増加するリスクも高まります。
また、特定の従業員に負担が偏ると、他の従業員を活かせておらず生産性の低下につながるかもしれません。そのため、業務の平準化は従業員の負担を分散させるだけではなく、生産性を向上させるためにも重要な取り組みといえます。
業務の標準化との違いは?
業務の標準化とは、従業員間で業務プロセスなどを統一し、全ての従業員が同じ品質の成果を挙げられるように取り組むことです。マニュアル作成や従業員教育などにより、業務の標準化を実現できます。
業務の平準化と目的は違いますが、どちらか一方ができていないと、もう片方も実現が難しいという深い関係性のある言葉です。
業務の平準化が必要とされる理由と得られる効果
業務の平準化が必要とされる理由と得られる効果には、以下の5つがあります。
業務効率の向上につながる
業務の偏りが生じると業務の進行が滞り期限に間に合わなかったり、延長してしまったりするかもしれません。業務の停滞を防ぐためにも、業務の平準化が必要とされています。
そして、業務の平準化ができると業務の負担が分散され、円滑に業務を遂行させることが可能です。従業員の負担が軽減され余裕も生まれ、業務効率の向上にもつながります。
業務の属人化防止につながる
特定の従業員に業務負担が偏ると、その従業員にしかできない業務が発生します。このように業務の属人化が起きると、さらに業務負担の偏りが強くなってしまうのです。
しかし、業務が平準化されると業務負担が振り分けられ、1つの業務に対し複数の従業員が担当になります。その結果、担当者の不在により業務の進行が止まることを防ぐことができます。
また、業務内容を把握している従業員が増えるため、業務の属人化防止につなげることが可能です。
従業員間の連携が強化できる
業務が平準化されず業務負担に偏りがあると、業務に追われ従業員間で連携も上手くいきません。従業員間の連携が上手くいかないと、さらに業務負担の偏りが広がってしまいます。
業務の進行を円滑に進めるためには、従業員間での連携が重要です。そこで、業務が平準化すると従業員の負担が減るため業務の進行が円滑に進みます。結果として、従業員間の連携強化が可能です。
働きやすい環境が整備できる
業務負担に偏りがある中で業務を多く抱える従業員は、休暇を取りにくい環境が生まれます。体調不良になっても、業務が滞ってしまうリスクを考えてしまい休暇を取らないケースも出てくるかもしれません。
休暇を取りにくい環境が続いてしまうと、従業員の意欲低下や心身の健康に影響を及ぼします。そのため、業務を標準化し負担を分散させ、従業員が休暇を取りやすい環境になると、働きやすい環境の整備につながります。
人件費などのコスト削減ができる
業務負担に偏りがあると、負担の少ない従業員はムダな待ち時間が発生します。業務量が多い特定の従業員の残業代が増えるだけではなく、待ち時間で業務が止まっている従業員の人件費も生じてしまいます。
そこで業務を平準化すると、待ち時間のある従業員の発生を抑制できるため、人件費などのコスト削減につなげることが可能です。
業務の平準化につながる4つの取り組み
業務の平準化につながる取り組みとして、以下の4つが挙げられます。
業務負担の偏りを明確にする
業務の平準化にあたり、従業員の業務負担の偏りを明確にする必要があります。明確にするにあたり、以下の項目を可視化し正確なデータを得るようにしましょう。
・どの業務内容なのか
・どの時点で発生しているのか
・どのくらいの負担量なのか
・どれくれいの頻度で発生しているのか
業務の偏りを可視化し客観的に把握できると、的確な解決策を考えられます。特定の従業員に偏りが生じていないか確認し、従業員間で平等な業務負担になるように振り分けしましょう。
マニュアルを作成する
業務の平準化を進めるには、マニュアル作成も効果的です。特定の従業員しか対応できない業務の発生は、業務負担の偏りを生む原因になります。そのため、誰が見ても業務内容を把握できるようなマニュアルを作成することが重要です。
また、業務の中には定型業務のようなルーティンワークだけではなく、問い合わせ対応や営業などの非定型業務も含まれます。
定型業務と違い、非定型業務はマニュアル化しにくい業務です。しかし、非定型業務に必要な知識を共有したマニュアル作成ができると、定型業務に変えられ平準化を進めやすくなります。
ツールを活用し業務を自動化する
様々なツールが普及した現代では、ツールを活用し業務を自動化できるようになりました。例えば、RPAを導入しデータ入力など単純なルーティン業務をツールに任せることが可能です。
人が作業するよりも作業時間の短縮や人為的ミスを減らし、従業員の負担を減らせます。業務の自動化によって、そもそも人的負担を減らせるため、業務負担の偏りも減ります。
定期的に見直し・改善をする
業務の平準化が進んでもその効果を継続させるためには、現状維持のままではいけません。定期的に見直しを実施し、見つけた新たな課題を改善する必要があります。
時間が経つにつれて、平準化の効果に変化がみられる可能性も少なくないのです。
新たな偏りが発生していないか確認し、改善するようにしましょう。このような見直し・改善といったPDCAサイクルを素早く継続的に回すと、課題を見つけ解決するまでのスピードが向上し、企業全体の成長促進にもつながります。
業務の平準化に使用できるツールとは?
ここでは、業務の平準化に使用できるツールについて、種類ごとに紹介していきます。
タスク管理ができるツール
業務の平準化にはタスク管理できるツールの利用がおすすめです。
タスク管理とは、業務を進めるにあたって必要な業務をピックアップ・対応し、達成の進行状況を管理することです。そのため、各従業員の業務量や進行状況を可視化できます。
さらに、他部門の担当者の進行状況も確認できるため、部署を越えた担当者間で情報共有を促進させることも可能です。おすすめのツールは、以下の3つが挙げられます。
Backlog
出典:
https://backlog.com/ja/
Backlogは、シンプルな操作性と親しみやすい見た目から、誰でも直感的に操作ができるツールです。タスク管理だけではなく業務を見える化し、全体の進行状況をひと目で確認できるため、必要に応じた計画変更や調整もしやすくなっています。
また、通信保護とデータバックアップ対策を施した安心のセキュリティ体制、メールやチャットによるサポート体制も整っている点が特徴です。さらに、スタンダードプラン以上の契約であればユーザー数の追加は無制限となっています。
コストパフォーマンスがよくセキュリティやサポート体制が整っているツールを使用して、業務の平準化を進めたい方におすすめなツールです。
Asana
出典:
https://asana.com/ja?noredirect=
Asanaは、情報の集約から業務・プロジェクトの進行状況などを管理できるツールです。PC操作が苦手な方でも直感的に操作ができ、マニュアル作成や研修の必要がなく使い始められます。
また、機能の1つである「ワークロード」は、業務量を見える化するための機能です。この機能では、チーム全体や各従業員の業務量がリアルタイムに管理できます。そのため、業務量の偏りにいち早く気付けるため、業務の平準化にはおすすめです。
さらに、Asanaはチームや組織を越えてプロジェクトの進行状況を共有できたり、100種類以上の外部システム・ツールと連携できたりします。チームや組織で使用している既存のシステム・ツールをそのまま活用できる点もAsanaを使用するメリットです。
Trello
出典:
https://trello.com/ja
Trelloは、タスクカードを左から右に移動させ、進行状況を管理するカンバン方式という手法が使用されています。直感的に操作ができるのはもちろん、全てのタスクのステータスをひと目見て確認できるのが特徴です。
従業員がタスクカードに業務内容を記入すると、どの業務を進めているのか把握ができます。お互いの業務が把握できフォローもしやすく、業務負担の偏りにも気づきやすくなるため、業務の平準化におすすめなツールです。
また、Trelloには自動化ツールも組み込まれています。コード不要でタスク管理を自動化できるため、重要な業務に集中して取り組むことが可能です。
マニュアル作成ができるツール
業務内容を可視化できるマニュアルは、業務を平準化するにあたって必要なものです。しかし、マニュアルを一から作成するとなると担当者の負担が増加してしまいます。
そこで、マニュアル作成ができるツールを使用すると、作成時間の短縮にもつながり簡単にマニュアル作成が可能です。
マニュアル博士
出典:
https://manual-hakase.com/
マニュアル博士は、動画式のマニュアル作成ができるツールです。難しい操作がなく、感覚的に使用できるため初心者の方にもおすすめします。
一から動画マニュアルを作成するだけではなく、既存の紙のマニュアルも簡単に動画式マニュアルに作り替えることも可能です。
マニュアル作成後は、マニュアルを公開するページも作成でき、社内で簡単にマニュアルの共有ができます。さらに、どこまで誰が閲覧したか簡単に把握でき、マニュアルに付随するテストが作成できる機能など、マニュアルを定着させるための機能もあり、業務の平準化を進めていくのにおすすめなツールです。
サポートも充実しているため、初めてマニュアル作成する場合にもおすすめです。
Dojo
出典:
https://tepss.com/dojo/
Dojoはマニュアル作成・共有・更新が手軽にできるツールです。電子マニュアルや紙、動画といった幅広い形式のマニュアル作成ができます。テンプレートも種類豊富であり、作成に慣れていない人でも手軽に高品質なマニュアルが作成可能です。
また、Dojoにはマニュアルの自動作成機能が付いています。対象のシステムやアプリケーションを操作すると、自動的に画面をキャプチャーし説明文まで自動作成されるため、マニュアル作成に伴う時間の短縮が可能です。
トースターチーム
出典:
https://toaster.how/
トースターチームは、AIによるマニュアル作成ができるツールです。マニュアルのタイトル名を入力するだけで、AIがマニュアルの執筆を開始します。マニュアルの下書きが簡単に作成されるため、一からマニュアルを作成する必要がなく作成時間が短縮できます。
また、AI機能を使用しなくてもステップガイドに従ってテキストを入力するとマニュアルが完成します。マニュアル作成経験がなくても迷うことなく構成作りもでき、高品質な見栄えの良いマニュアル作成が可能です。
そして、トースターチームはマニュアル作成だけに留まらず、社内情報も格納できます。共有したい情報についてもツールを使用して共有できる点は、他のツールとの違いです。
RPAツール
ロボットにより業務の自動化ができるRPAツールは、業務負担を減らすために活用可能です。ルールや作業手順を設定すると、24時間365日業務が自動化されます。
RPAツールを活用する際には、まず業務を可視化し自動化できる業務を明確にしましょう。
特に定型業務が自動化しやすいため、積極的にツールを活用し処理を任せることでそもそもの業務量を減らせます。業務量が減ると従業員の業務負担を分散できるようになるため、業務平準化を進めるために必要なツールとも言えます。
BizRobo!
出典:
https://rpa-technologies.com/
BizRobo!は、利用継続率99%と高く様々な業界で使用されているRPAツールです。専門的な知識は不要であり、複雑なコードを書く必要もありません。視覚的にロボットの開発ができます。
BizRobo!を利用すると、定型作業を自動化でき業務量を減らすことが可能です。さらに、独自の機能により自動化できる業務の幅が広いのも特徴なため、業務の平準化におすすめなツールです。
また、利用する際にはスモールスタートから全社展開まで段階的に製品が用意されています。そのため、企業の規模を問わず利用がしやすいのも特徴です。
RoboTANGO
出典:
https://robotango.biz/
RoboTANGOは、人的に行っていたルーティン業務やタスク業務などを簡単に自動化できるRPAツールです。そのため、作業時間を大幅に削減できることから、従業員の業務負担を減らすことができます。
RoboTANGOを利用する際は、専門的な知識や技術はいりません。録画機能を活用できるため、簡単にRPAを作成し運用まで実施でき、ITリテラシーに不安がある方にもおすすめです。
また、1つのライセンスにて複数の部署や拠点のPCでも利用ができます。低価格・最低1ヶ月利用といったスモールスタートができるため、コストを抑えながら平準化をしたいと考えている方におすすめです。
AUTORO
出典:
https://autoro.io/
AUTOROは、専用端末やサーバーが不要のRPAツールであり、幅広いデバイスに対応しています。PCとインターネット環境があれば使用できるツールのため、テレワークでも問題なく利用可能です。
AUTOROの操作は、視覚的な指示のもと行うため直感的な操作でロボットに指示を出せます。ノーコードで利用できるツールのため、プログラミングの知識がなくても問題なく、RPAツール自体を初めて使用する方にもおすすめです。
自動化できる業務をAUTOROに任せることで、全体の業務量が減り従業員の負担を分散できます。また、拡張性が抜群なため外部システムとの連携がスムーズに行えるのも特徴です。
外部システムの利用が多い中で業務の平準化に取り組みたい方にはおすすめと言えます。
まとめ
今回は、業務の平準化から得られる効果やおすすめなツールなどについて紹介しました。特定の従業員に業務が偏っている、そのような環境である企業も少なくないかと思います。
しかし、業務を平準化し従業員の業務負担を平等にすることで、業務効率の向上やコスト削減などの様々な効果を得られます。
また、業務の平準化を進めていくためにはツールの活用も欠かせません。ツールの種類や数は多くあり、選ぶ際に迷ってしまう可能性もあるかと思います。
ぜひ、今回の記事で紹介したツールなどを参考にしながら、業務の平準化を進めていきましょう。