手順書を作成するにあたって一から作成するとなると、全体のレイアウトやデザインも作成する必要があり、時間や手間がかかり作成者の負担が増加します。そのため、「手順書作成に使用できるテンプレートはある?」「選ぶ際のポイントはある?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、手順書作成に使用できるサイト5選や選ぶ際のポイントなどについてご紹介します。テンプレートの使用を検討している方や選び方に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
手順書とマニュアルは別物である
手順書は、特定の業務の内容・手順・注意点などを具体的に記載しているものです。特定の作業に対して、手順などを細かく把握することを目的として作成されます。
一方、マニュアルにも業務の内容や手順などが記載されますが、併せてルールなど業務に関する広範囲の情報も記載されます。業務全体の流れからルールまで把握することが目的です。
よって、手順書・マニュアルは共に似たような内容が記載されますが、作成される目的が違うため別の書式と言えます。
手順書作成におすすめなテンプレートサイト5選
手順書はテンプレートを使用すると手軽に作成ができます。ここでは、おすすめのサイト5選を紹介します。
bizocean
出典:
https://www.bizocean.jp/doc/
bizoceanでは、全体で3.2万点以上の書式やテンプレートが展開されており、無料会員登録すると回数制限なくダウンロード可能です。カテゴリーも700種類あるため、目的に応じたテンプレートが探しやすいのが特徴です。
テキストでの手順書作成に適しており、Word・Excel・PowerPoint形式で使用できるものが用意されています。Officeソフトを利用して作成したい方におすすめのサイトです。
SILAND.JP
出典:
http://siland.jp/
SILAND.JPは、業務マニュアルや運用マニュアルに使用できるWord形式のテンプレートが無料ダウンロードできるサイトです。見出しを利用し目次設定もできるため、複数ページになる手順書作成の際にも使用しやすく、目的に応じて自由にカスタマイズがしやすいのが特徴です。
実際の作成例も確認できるため、順書作成に慣れていない方でも参考にしながら作成が可能です。業務でよく利用するツールも揃っているため、手順書に限らず幅広いテンプレートも探しやすくなっています。
Template box
出典:
https://template-box.jp/
Template boxは、テンプレート登録者が投稿したテンプレートを無料でダウンロードできます。使いやすいシンプルなものも幅広く提供しており、ビジネスの場で使用可能なテンプレートも豊富に揃っているのが特徴です。
Excelで利用できるシンプルなデザインのものが利用でき、特に製造業や工場などの現場で使用しやすいものとなっています。また、テンプレートを元に項目やページを増やすなどアレンジもしやすく、幅広い業種で利用可能です。
kaizen penguin
出典:
https://kaizen-penguin.com/about-job-list-8865/
kaizen penguinは、Excelで作成された手順書のテンプレートが無料ダウンロードできます。可視化しやすいテンプレートは、「フェーズ」「フロー番号」「業務工程」「作業内容」と細かく項目が設定されており、項目を埋めるだけで手順書が完成します。
サイト上でテンプレートを提供する他にも、作成のステップや意識すべきポイントも細かく解説しています。サンプルとして記載例が書かれた状態でダウンロードができるため、手順書作成に不慣れな方でも参考にしながら作成できます。
NEC
出典:
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/sitework/column/07/index.html
NECはサイト上で工程作業手順書のテンプレートを無償提供しています。Excelで作成されたテンプレートは製造業向けを想定して作成されていますが、項目名を修正や不要な項目を削除することで幅広い業種や職種の手順書に汎用が可能です。
略図を記載する箇所も設けられており、テキストだけではなく図なども取り入れられ、視覚的にも理解しやすい手順書の作成ができます。また、手順書作成に参考となる情報も記載されており、ポイントを押さえながら作成できる点もおすすめです。
テンプレートを選ぶ際に意識したい3つのポイント
テンプレートサイトについて紹介しましたが、実際にテンプレートを選ぶ際には以下の3つを意識するとよいでしょう。
テンプレートの記載項目に不足がないか
1つ目は、テンプレートの記載項目に不足がないか確認することです。テンプレートには項目が記載されているものも多く、項目に沿って記載すると手順書が作成されます。しかし、作成したい業務内容によっては記載項目が不足している可能性もゼロではありません。
そのため、テンプレートを使用する前に手順書を作成する目的や記載する内容を洗い出しておくのがおすすめです。事前に洗い出しておくと、不足している項目に気がつくことも可能です。
変更や更新作業が行いやすいか
2つ目は、変更や更新作業が行いやすいか確認することです。手順書は1度作成したら終わりではありません。該当の作業内容に変更や追加項目が生じれば、その都度変更や更新作業が必要になります。
1度作成したら変更や更新作業ができないテンプレートであると、再び一から手順書を作り直す必要が出てしまい作成者に負担がかかってしまいます。作成後の変更や更新作業も見据えてテンプレートを選ぶようにしましょう。
内容に合ったテンプレートか
3つ目は、内容に合ったテンプレートか確認することです。テンプレートによっては特定の作業に適しているテンプレートもあります。汎用性の効かないテンプレートであると、内容に合わず手順書の内容が伝わりにくい可能性も出てきます。
テンプレート選びをする際は、手順書の用途や内容を踏まえて適したテンプレートを選ぶようにしましょう。読み手が使用する場面を具体的に想像すると、記載する内容に合ったテンプレート選びがしやすくなります。
手順書作成にテンプレート使用がおすすめな3つの理由
手順書作成にテンプレート使用がおすすめな理由は、以下の3つが挙げられます。
わかりやすい手順書の作成が可能となる
テンプレートを使用すると、わかりやすい手順書の作成が可能です。これは、テンプレート自体の形式がわかりやすい構成で作られているためです。テンプレートを使わずに一から作成すると、作成者のスキルによってわかりにくい手順書になるおそれもあります。
手順書は読み手にとってわかりやすいものでないと、内容が理解されにくく手順書の意味をなしません。手順書を使用し業務の効率化や品質の維持・向上につなげるためにもわかりやすい手順書作成が求められています。
手順書作成の作業時間短縮となる
一から手順書を作成すると、記載する内容だけではなく全体のレイアウトやデザインなども考える必要が出てきます。作業時間も多くかかり、作成者の負担にもつながりかねません。
そこでテンプレートを使用すると、既存のレイアウトに沿って作成していくだけとなり全体のレイアウトやデザインなどを考える必要がなくなります。結果として、作業時間の短縮にもつながるため、手順書の運用もスムーズに開始できるなどといったメリットも生まれてくるのです。
変更や更新作業が行いやすくなる
手順書は作成して終わりではなく、その後も業務内容の変更などに伴い手順書の内容変更や更新作業も行います。しかし、一から作成した手順書であると、全体のレイアウト自体の修正や変更が必要となり、結果として手間が増えてしまうことが多いです。
また、手間が増えるだけではなく、抜けや漏れなどミスにつながる可能性も出てきます。変更や更新作業も見据えテンプレートを使用すると、簡単に修正や変更もでき手間が減らせるだけではなくミス防止にもつながるのです。
手順書により得られる5つの効果
手順により得られる効果として、以下の5つがあります。
誰が作業しても業務が行える
特定の従業員しかできない業務が生まれてしまうと、担当者が休んだ時や退職した時などに対応できなくなり、業務が止まる危険性があります。手順書により業務内容が標準化され、誰が作業しても同じように業務が行えるようになります。
また、担当者が不在でも手順書があるとで問題なく業務を行うことが可能です。特定の従業員にしか業務が行えないといった属人化は企業にとってもデメリットが多いため、手順書を作成し担当者を問わずに業務を行える体制にすることをおすすめします。
品質の維持や向上に期待できる
記載されている内容に沿って進めると、誰が行っても同じように作業が可能です。結果として品質の維持や向上に期待でき、顧客からの信頼を高めるきっかけにもつながります。
反対に、手順書がないと個々のやり方で作業を進めてしまい、能力によって品質の差が出る可能性もゼロではありません。品質がバラバラになりクレームの発生にもつながりかねないため、品質の維持や向上のためには手順書が必要となります。
効率良く業務ができるようになる
手順書を読むことで、次の工程や業務中の疑問などにも対処が可能です。
その結果、無駄な動きがなくなり誰もが効率良く業務ができるようになります。そして、作業時間の短縮により残業も減り、従業員の負担軽減だけではなくコスト削減など企業にもメリットが生じるでしょう。
企業の知的財産を蓄積し活用できる
手順書には企業内で蓄積した知識やノウハウなどといった知的財産が記載されています。手順書にはその知的財産を伝えるという役割も担っており、正確に効率よく伝えることが可能です。
手順書を活用し情報共有を図ると、企業内ではより多くの知的財産を蓄積し活用できます。手順書があることで従業員個人の知識として留まることを防ぎ、企業価値を高める効果にも期待できるのです。
新人教育に活用できる
手順書には業務の内容や手順などが具体的に記載されているため、未経験者や作業に慣れていない人であっても作業内容が理解しやすいものとなっています。それだけではなく、新人教育にも活用できます。
注意点なども記載されている手順書であればケガの防止にもつながり、結果として新人教育の大幅な時間短縮にもつながるでしょう。また、教育者が新人教育にかける時間の削減にもなります。
手順書を使用する上での3つの注意点
手順書を使用する上では、以下の3つに注意しましょう。
臨機応変な対応ができなくなるおそれがある
1つ目は、臨機応変な対応ができなくなるおそれがあることです。手順書に沿って作業を行う場面が多くなると、反対に手順書通りにしか動けなくなる可能性も考えられます。
例えば、手順書に書かれていないイレギュラーなトラブルが起きても対応できないなどです。
場合によっては、手順書に縛られすぎてしまう可能性もあります。手順書は、臨機応変な対応が生じた場合や想定した内容で記載するようにしましょう。
自主的に行動ができなくなるおそれがある
2つ目は、自主的に行動できなくなるおそれがあることです。業務に関してより良い方法があってもそれに気づかない、そもそも見つけようとしないといったことも起こりかねません。
また、効率良く業務をしようなどと従業員自ら考える機会を失ってしまうリスクも考えられます。
このように、従業員自ら考えることをせず自主的に行動ができなくなると、従業員の成長にもつながらなくなってしまいます。
手順書はあくまでも基本の作業であり、自ら試行錯誤したり考えたりしながら自主的に行動することが必要であると伝えるようにしましょう。
手順書の作成や管理に伴う負担がかかる
3つ目は、手順書の作成や管理に伴う負担がかかることです。手順書の作成には現場の意見を取り入れたり幅広く情報収集をしたりなどと、作成に伴う時間がかかります。
また、手順書を管理していく際も定期的な見直しや従業員の意見をフィードバックするなどの作業も必要です。
作成や管理に伴う負担を軽減するためには、ツールやテンプレートを使用し効率良く作成や管理するようにしましょう。
手順書作成時に意識すべき4つのポイント
手順書作成時に意識すべきポイントは、以下の4つです。
作成目的や読み手を明確にする
作成目的や読み手によって手順書に記載すべき内容が変わるため、作成目的や読み手を明確にすることが必要です。新人に対しての手順書であれば、新人でも理解しやすい言葉を使用し業務内容や手順を細かく書くことが求められます。
反対に、ベテランに対しての手順書であれば専門用語を使用しても問題なく、新人向けの手順書よりは記載する内容を絞ることも可能です。
視覚的にも理解できるように作成する
テキストのみの手順書となると、業務内容によっては理解しにくいことがあります。テキストのみでは業務内容がイメージしにくいことも、図やイラストなどを用いると読み手は視覚的に内容の理解が可能です。
手順書を見ただけである程度業務の全体像が掴めるような内容にするためには、視覚的にも理解できる工夫を意識するとよいでしょう。
手順書を読んですぐ作業ができる内容にする
手順書は読んですぐ作業ができる内容にすると、担当者の経験値やスキルに関係なく一定の作業が可能になります。
わかりにくい手順書であると業務効率化や生産性の低下にもつながりかねないため、読んですぐに作業ができる内容を意識しましょう。以下のような点を意識し、構成や内容を考えることがおすすめです。
・目次を設定する
・簡潔な文章で書く
・作業内容、メリットやデメリットを明確に書く
・図など用いて視覚的にも理解できるようにする
読み手となる従業員の声を取り上げる
読み手となる従業員の声を取り上げることも手順書作成時には意識するとよいでしょう。事前確認やヒアリング時に情報収集できなかったことや、手順書運用後に変更となった内容が出てくる可能性もあります。
また、従業員の声を元に修正や改善を繰り返していくことで、より良い手順書となっていきます。
まとめ
この記事では、手順書作成に使用できるサイト5選や選ぶ際のポイントなどについてご紹介しました。
手順書は読んですぐに作業できる内容を記載する必要があります。そこで、テンプレートを使用し手順書を作成することで、読みやすく理解されやすいものが作成可能です。
これから手順書を作成する方や手順書作成の見直しをしたいと考えている方は、ぜひテンプレートの使用を検討してみてください。