マニュアル作成でデザインにこだわるのはNG!
マニュアルを作り始める前にまず押さえておくべきなのが、「デザインにこだわりすぎるのはNG」という点について。
冒頭で「見やすいマニュアルにはデザインの意識が必要不可欠」と解説してきましたが、デザインを追求しすぎるのはNGです。
マニュアルを作成する場合、見やすさを担保するために体裁を整えることは必要ですが、商品のパッケージや本の表紙などのデザイン物を作成するわけではないので、デザイナーのように細部にまでこだわる必要はありません。
マニュアル作成の目的は、あくまで「手順ややり方、方法をわかりやすく伝えること」です。
マニュアルを見て正しい手順・正しい方法で作業できるかどうかが重要になるので、細部の装飾にまでこだわる必要はありません。
マニュアルを見る側・使用する側が求めているのもデザインへのこだわりではなく「見やすさ」「わかりやすさ」なので、細かい部分のデザインを追求するなどの非効率な作業は避け、マニュアル作成の本来の目的である見やすいマニュアル・わかりやすいマニュアルを作りに時間と労力を費やすようにしましょう。
見やすいマニュアルを作るために知っておきたいデザインのコツ
マニュアルを作成する際、デザインにこだわりすぎるのはNGですが、「見やすさ」は担保しなくてはいけません。
なぜなら、「見やすさ」がマニュアルの「使いやすさ」に直結するからです。
そこで押さえておきたいのが、見やすいマニュアルを作るためのデザインのコツについて。
押さえておくべきコツとしては、以下の7点があげられます。
・適度に余白を設ける
・見出しを設定する
・フォントの種類を統一する
・図や表、イラスト、画像を取り入れる
・箇条書きを取り入れる
・テキストや図、表の配置を揃える
・関連する情報同士をまとめる
これらを意識しながらデザインを整えていくことで、マニュアルの見やすさは飛躍的に向上します。
7つのコツを詳しく解説していくので、ぜひ取り入れるようにしてください。
適度に余白を設ける
デザインすることに慣れていない人がマニュアルを作ると、余白があることに違和感を感じてなんとか余白を埋めようと奮闘してしまいがちですが、過度に余白を無くそうとする必要はありません。
なぜなら、視認性を担保するにはある程度の余白が必要不可欠だからです。
「デザインは余白で決まる」「デザインは余白がすべて」という意見もあるほど、余白はデザインにおいて重要な要素となっています。
実際、余白のないマニュアルは読みづらいですし、テキストで埋め尽くされたマニュアルは目を通すことすら嫌になるものです。
適度に余白を設けてあげることで読みやすいスッキリとしたマニュアルになりますし、余白を設けることで内容の区切りなどの情報を読み手に伝えられるようになるので、理解度も高まります。
慣れるまでは余白に違和感を感じるかもしれませんが、自分が見やすいと思う資料や本などを参考にしながら、適度に余白を設けつつマニュアルを作成するようにしましょう。
読みやすさを意識しながら余白を設定してあげるようにすると、より視認性の高いマニュアルに仕上げられるようになります。
見出しを設定する
マニュアルの見やすさを担保する上で見出しの設定は必要不可欠です。
見出しはマニュアルにおける目次のようなもので、どういった情報が掲載されているかを読み手に端的に伝えることができます。
また、見出しや小見出し、本文を使い分けることで、視認性も担保できるようになります。
デザインの経験や知識がない方がマニュアルを作成しようとすると過剰に文字の色やサイズを変えようとしてしまいがちですが、そのような過剰な装飾はマニュアルを見づらいものにするだけです。
過剰に装飾しなくても、見出しを適切に設定してあげるだけで非常に見やすいマニュアルになるので、変に装飾しようとせず、見出しを設定することを意識するようにしてください。
パワーポイントなどのマニュアル作成に使用できるツールには、見出しのフォーマットが用意されていたりします。
それらはデザインと視認性を考慮して作成された見出しなので、ツールに用意されているデフォルトの見出しを使用するのもおすすめです。
フォントの種類を統一する
マニュアルを作成する際はフォントの種類も統一するようにしましょう。
さまざまなフォントが用いられているマニュアルは、統一感がなく雑多な印象をあたえてしまいますが、そうなると読み手がマニュアルの内容に集中できません。
また、フォントの種類がコロコロ変わると、読み手に違和感を感じさせてしまいます。
ただ、すべて1つのフォントでまとめてしまうと内容にメリハリがなく、わかりづらくて見づらいマニュアルになってしまうので、
・見出し
・小見出し
・本文
など、要素ごとでフォントの種類を変更して使い分けるようにしましょう。
マニュアルを作成する人によって使用するフォントの種類が変わってしまわないよう、「見出しのサイズは14で本文のサイズは10」など、フォントのルールを決めた上でマニュアル作成に取り組むことをおすすめします。
また、文字の太さや色を統一することもマニュアルデザインにおいて非常に重要な要素になるので、文字の太さや使用する色に関するルールも設定しておくようにしましょう。
図や表、イラスト、画像を取り入れる
マニュアルを作成する際はテキストがメインになりますが、テキストが羅列されているだけのマニュアルは見ているだけでウンザリしますし、視認性もよくありません。
そこで取り入れたいのが、
・図
・表
・イラスト
・画像
などの、テキスト以外の要素です。
作業の手順などは図を使って解説した方がわかりやすくなりますし、データを伝えるときなどは表を使うことでより見やすくまとめられるようになります。
イラストや画像が掲載されていると読み手がよりイメージしやすくなりますし、マニュアルを読み込む上での箸休めにもなります。
また、図や表、イラスト、画像で表現できるものは、テキストではなくそれらを用いて表現するようにしましょう。
そうすることで文章のボリュームが抑えられるようになり、マニュアルの全体のボリュームも抑えられるようになります。
箇条書きを取り入れる
マニュアルを作成していると、作業の手順や作業する上でのポイント、注意点などを記載する場面が頻繁に出てきますが、そのときに取り入れたいのが箇条書きです。
複数ある作業の手順やポイント、注意点をすべてテキストで羅列して説明しようとすると情報が伝わりづらくなってしまうので、箇条書きで表現できるところはどんどん箇条書きで記載するようにしましょう。
作業の手順は基本的に箇条書きで示してあげるべきですし、ポイントや注意点などが3つ以上あるときは、テキストを羅列するのではなく、箇条書きで表現するべきです。
また、デザインの観点で見た場合、文章内でただ箇条書きするだけでなく、箇条書きを枠で囲ったり背景の色を変更してあげることで視認性も向上します。
テキストや図、表の配置を揃える
マニュアル作成では、テキストだけでなく図や表、イラストなどを積極的に取り入れるべきだと紹介してきましたが、それらの要素は、ただ配置するのではなく揃えて配置するようにしてください。
Wordなどの文章作成ツールで文章を作成する場合、文章のインデントを揃えて見栄えを整えることがあるかと思いますが、そのイメージです。
それぞれの要素が揃えられずにバラバラに配置されていると読み手に違和感を感じさせてしまいますし、視線の移動が多くなり、読み手を疲れさせてしまう可能性があります。
何より、それぞれの要素を揃えて配置した方が余白のバランスも均一で美しくなりますし、スッキリした印象のマニュアルになるので、必ず揃えて配置するようにしましょう。
関連する情報同士をまとめる
マニュアルのデザインを考える場合、関連する情報をなるべくまとめて配置してあげることも重要なポイントの一つになります。
例えば、
・Aの作業フロー
・Bの作業フロー
・Aの作業をおこなうときの注意点
という順番で情報を配置してしまうと、読み手がAの作業をおこなうときの注意点を確認しないまま作業を始めてしまいかねません。
きちんと確認して作業を始める場合でも、マニュアルを行き来して内容を確認しなければならないので漏れが発生する可能性がありますし、非常に使いづらいマニュアルになってしまいます。
使いづらいマニュアルにしないためにも、
・Aの作業フロー
・Aの作業をおこなうときの注意点
・Bの作業フロー
というように、関連する情報はなるべくまとめて配置するようにしましょう。
マニュアルを作るときの注意点
実際にマニュアルを作成する場合、見やすいマニュアルにするためのデザインのコツだけでなく、以下の注意点についても把握しておかなくてはいけません。
・いきなり完璧なマニュアルを作ることを目指さない
・定期的に更新して最新の状態を保つ
・マニュアルの構成も意識する
・すべてのマニュアルのフォーマットを統一する
・オリジナルにこだわりすぎない
これらを意識しておかないと、マニュアル作成はもちろん、マニュアルの運用にも失敗してしまう可能性があります。
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
いきなり完璧なマニュアルを作ることを目指さない
企業がマニュアルを作成する場合、いきなり完璧なマニュアルを作ろうとしてしまいがちです。
「どうせ時間や手間をかけてマニュアルを作るのであれば完璧なものを作りたい」と意気込むのもわかりますが、デザイン面を含め、いきなり完璧なマニュアルを作ることはできません。
デザインに関する知識やスキルがない場合であればなおさらです。
冒頭でも紹介したとおり、マニュアル作成の目的は、あくまで「手順ややり方、方法をわかりやすく伝えること」であって、完璧なものを作ることではありません。
マニュアルはデータさえ残っていればいつでも修正できます。
内容はもちろん、デザインを変更したり修正したりすることも可能です。
もちろん、運用していく中で完成度を高めていかなくてはいけませんが、いきなり完璧なものを用意する必要はありません。
完璧を求めすぎると、いたずらに時間と手間を消費してしまうだけになり、非効率的なので、まずはマニュアルを完成させることを意識して取り組むようにしましょう。
定期的に更新して最新の状態を保つ
こちらも勘違いされやすいポイントの一つですが、マニュアルは作って終わりではありません。
先ほど解説したとおり徐々にマニュアルとしての完成度を高めていかなくてはいけませんし、定期的に見直して更新するなどして最新の状態を保っておかなくてはいけません。
例えば、業務マニュアルを作成する場合であれば、作業の手順が変更になったときには業務フローに関する情報を変更する必要があります。
作業の手順が変わったということは、作業する上でのポイントや注意点も変更になる可能性があるので、それらも見直さなくてはいけません。
マニュアルに記載されている情報が古いままになっていると誤った方法で作業を進めてしまう可能性がありますし、それが元で大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そのような事態を避けるためにも、マニュアルを作成する際はメンテナンスまで考慮する必要があるわけです。
マニュアルの完成度については、デザインや視認性、使い勝手などについての意見を集め、それらの意見を参考にしながら更新することで高められるようになります。
マニュアルの構成も意識する
マニュアル作成では、より良いデザインで視認性の良さを担保したり、正しい情報を記載することが重要になってきますが、それと同じぐらい重要なのがマニュアルの「構成」です。
いくらデザイン性が高いマニュアルでも、構成が考慮されていなければわかりづらいマニュアルになってしまいかねません。
また、構成が考えられていないマニュアルは情報が前後してしまうため、読み手を混乱させてしまう可能性もあります。
マニュアルを作成する際は、どういった順番で情報を掲載していけばより読み手の理解度を高められるかを意識しながら構成を考え、その構成をもとにして作っていく意識が大切です。
例えば、特定の作業に関するマニュアルであれば、より基本的な作業から解説していき、徐々に応用的な内容を解説するような構成にすると、本のように体系的に学べるようになり、読み手の理解度も高まります。
すべてのマニュアルのフォーマットを統一する
マニュアルを作成する際のデザイン面の注意点としては、フォーマットの統一があげられます。
マニュアル作成ではフォントの種類を統一したり見出しを活用するべきだと紹介してきましたが、それらのフォーマットはすべてのマニュアルで統一するべきです。
マニュアルによって、
・フォントの種類
・見出しの有無
・見出しのデザイン
・装飾の仕方
などが異なると、読み手は混乱してしまいます。
また、フォーマットの統一はマニュアルを作成する側・管理する側にとっても重要です。
フォーマットが統一されていないと、マニュアルを作成したりメンテナンスする度にデザインを考え直さなければならなくなってしまい、時間と手間がかかるので、非効率的な作業を避けるためにもフォーマットは必ず統一するようにしてください。
オリジナルにこだわりすぎない
マニュアルを作成する際は、すべて1から作ることにこだわるべきではありません。
デザインの知識やノウハウを持ち合わせていない人がマニュアルを1から作成する場合、簡易的なマニュアルであってもかなりの手間と時間がかかります。
また、デザインの知識やノウハウがないので、今回紹介してきたコツを意識して実践したとしても、デザインの整った視認性の高いマニュアルを作れるとは限りません。
1からすべて自分で作ることにこだわろうとしたり変にオリジナリティーを出そうとしたりせず、テンプレートが用意されている場合はそれらを活用しながら効率的に作成するようにしましょう。
パワーポイントには見出しのフォーマットが用意されていると紹介してきましたが、見出しも含め、全体のデザインフォーマットが用意されていたりもします。
また、最近はマニュアル作成をサポートしてくれるツールやサービスも充実してきていますが、それらの中にはテンプレートが豊富に用意されていたりするツールやサービスもあるので、なるべく活用しながら効率的に作成するようにしてください。
まとめ
マニュアル作成の目的は、あくまで「手順ややり方、方法をわかりやすく伝えること」です。
そのため、細部のデザインにまでこだわるべきではありませんし、時間や手間をかけるべきでもありません。
ただ、視認性を担保してあげる必要はあるので、今回紹介した7つのデザインのコツを意識しながらマニュアル作成に取り組むようにしてください。
1からすべて自分でデザインしようとすると時間がかかりますし、手間もかかるので、マニュアル作成をサポートしてくれるサービスやツールを上手く活用して、効率的に作成するようにしましょう。